The Perfect Drug

The Fragile #2 | Flesh & Bones : 19991111

 

今日は料理の本を見ていた。

ステーキの特集で、ものすごい大きさの肉のかたまりやスライスの写真を嫌と言う程見た。骨もきっちり写っている巨大な肉のスライスだとか、牛の半身が吊るされているのとか。肉の赤身の色が非常に美しく、熟成して後の黒ずんだ赤などは肉の持つ圧倒的なエネルギーを体現している。
脂身の色のアイボリー、はじの焼けている黄色やべっこう色でさえも甘い香りがして来そうな肉。はっきり言うとおいしそう。
残酷な感じもあるにはあるが…食材として扱われている文中ではそのイメージは払拭されている。
食事とは命を食べること、と言うのを目の当たりにする感じ。そう、その肉のかたまりには命の存在感がまだあった。

翌朝、一緒に見ていたダーリンに言われた。
「The Fragileのジャケットって昨日の本の肉と骨みたいだね」。……言われてみれば。
「そんで、NINのロゴは向かって右にあるから、それが『タマシイ』って感じ」。

タマシイ、って言うか心臓って言うか。ハート、だ。まさしく。
「NIN」が彼にとってのハート、タマシイそのものと言う意味なのだろうか。それは充分に納得できる話だ。

皮を剥いでむき出しになった肉。体液と言う湿度の重み。そこに潜む命の存在感。このアルバムにはふさわしいビジュアルと言える。生の熱と色をさらけ出すビジュアル。

赤と白、と言う本来は相克を成す色が「命」の存在をほのめかす。つまりここにもまた、以前書いた「相反する二つの存在」がある。

そして、パッケージに「肉(体)をまとう」と言うイメージもまた、このアルバムには非常に大きな意味合いが付加される。よりリアルな、手に触れられる、等身大の彼がそこに在る感じ。

私は常々、このアルバムを聴き始めた当初から感想として「命に触れるような」と言う表現をして来た。いつ聴いても彼の存在感、言ってみればエネルギーとか熱を感じる。「肉と骨」と言う解釈はまさしくその感想にぴったりだったので、また「謎」を解く鍵をひとつ手に入れた気分だった。

「はっきりとした結論が出ないようにした」とトレント自身が言っているこのアルバムでは、アートワーク全般にもそのコンセプトが根付いているんだろうと思う。だから、この「肉と骨」もまた解釈の一つにすぎない。見方を変えたらまた別の物に見えるんだろう。
今日のこれは、解釈のひとつ目だ。